2019年06月08日

ヘリウムが足りない:リニア新幹線大丈夫?

 ヘリウム不足、しばらく話題になっていなかったけど、また注目されているようです。

 私は自分では直接液体ヘリウムを使ったことはないのだけど、装置のメンテナンスのために使ったことはあって、一応取り扱いに必要な知識は持っている。実は長いこと「ヘリウム回収配管」がある機関に所属していたので、ヘリウムって回収して再利用するのが当たり前だとなんとなく思っていた。でも、よく考えてみたらそんなわけないよな。回収するところまではなんとかなっても、ヘリウムの液化装置なんて維持がめちゃくちゃ大変だから、コストを考えると原則使い捨てにするのがむしろ当然だ。

 今になって騒がれているのは、米国が 2021 年で国外へのヘリウム販売を終了するからだそうです。これ、大変なことですよ。病院の MRI どうするんだ。

 それで、上記の日刊工業新聞の記事には一言も書かれてないけど、リニア中央新幹線どうするんだよ。営業運転には液体ヘリウムが継続的に必要だよね? といっても、必要な液体ヘリウムの量を試算したデータがなかなか見つからない。具体的な数字を出している数少ない例が、下のブログ記事。

ヘリウムが無いとリニア新幹線は走れない!

 2015年7月2日の参議院内閣委員会で山本太郎氏が質問した内容の一部を文字起こししたもののようです。「山本太郎」という名前で脊髄反射的に拒絶する人がたくさん出てきそうだけど(私も好きではないです)、この質疑の内容はよく練られている。この中で、「超電導磁石1組に液体ヘリウム数十リットル」「(山梨実験線で)7両編成の車両で超電導磁石は16個」ということなので、1編成に数百リットルの液体ヘリウムを積んでいることになる。

 走行中に液体ヘリウムは少しずつ蒸発していく。JR 東海は回収再利用するつもりみたいだけど、そうなると蒸発したヘリウムガスを終点に着くまで車両ごとに貯めておかないといけない。液体ヘリウムは気化すると体積が700倍ぐらいになる。蒸発量をざっくり1%ぐらいだとすると、貯めておくヘリウムガスの量はまあ数千リットルぐらい? 実際には圧縮するだろうから、ボンベ数本分ぐらいにおさまりそう。この程度なら、走行中の蒸発分を回収することは、少なくとも技術的には可能そうだな。(この試算、「蒸発量1%」という数字には何の根拠もないので、真に受けないでください。)

 回収・再液化がちゃんと機能すれば、ヘリウム資源の量についてはなんとかなりそうな気もしてきた。もっとも、それに必要なエネルギーの量を考えると、気が遠くなる。そこまで資源を投入してまで、リニア新幹線って走らせないといけないものなんですかね。「一応始めちゃったから最後まで行こうよ」的なノリでやってるような気がしてならない。今から凍結するなんて言ったら、各方面大ヒンシュクなんだろうな。でも、本当はやめてほしいけどな…

タグ:科学 社会
posted by toshinagata at 08:50| 日記

2019年05月19日

元素周期表150年

 今日の中日新聞サンデー版は、「元素周期表150年」でした。

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 解説は玉尾皓平先生。「人類は今、歴史上最も美しい周期表を手にしています。」で始まるこの気品に満ちた一文、「美しい周期表」にふさわしい美しい解説文だと思います。

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 「人類史上最も美しい周期表」の意味するところは、現在認定されている元素が118番までで、第7周期のちょうど終わりに達しているということ。既知の元素の最大のものが、周期表の1周期の終わりと一致していたことは、今までに一度もなかったことなんですね。

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 超重元素を合成して性質を調べる、という研究は、宇宙の果てを探求する研究に似ている。それは、まだ誰も見たことのない世界にたどりつくための営みだ。超重元素の探索には、二つの意味があると思う。一つは、原子核物理学で予測されている「安定の島」付近で、半減期が数日以上の超重元素の同位体が存在するかもしれない、という推測を実験的に検証すること。もう一つは、このような超重元素について、われわれが現在知っているような化学の原則が成り立つのかどうかを検証すること。

 一つめの点については、今まで合成された原子核はまだ中性子数が足りないので、異常に長い半減期の同位体はまだ実現されていない。二つ目の点については、重い元素は半減期が短く量(原子数!)も足りないので、化学的性質を調べるには至っていない。このことから、超重元素の研究はまだまだ長い道程が待っていることがわかる。

 ただ、複雑な思いを抱く部分もある。「〜の果てを探求する」という研究テーマは、人々のロマンをかきたてるのは確かなのだが、学問が先鋭化するにつれて、「果てを探求する」のに必要な研究のコストはどんどん上がっていく。その一方、「果ての探求」ほどロマンチックに見えないけど、実現すれば波及効果が大きい研究テーマというのもある。研究に投入できる資源に限りがある中で、壮大でロマンチックな研究テーマの重みがあまり大きくなってしまうと、バランスを欠くことがあるかもしれない。この点には、少し気をつけておきたいと思っている。

 玉尾皓平先生は、地味なケイ素化学をずっと研究してこられた方なので、このあたりのバランスはよくわかっていらっしゃるに違いない。そういう意味で、このサンデー版の解説を玉尾先生に依頼した東京新聞は、いい仕事をしたと思います。

タグ:科学 社会
posted by toshinagata at 20:41| 日記

2019年05月13日

Mac の更新を検討中

 今使っている MacBook Late2008 だが、スリープからの復帰時にときどき画面が揺れることがあって、近々寿命が来るかもしれない、と思っている。1台の Mac を10年以上も使ったのはこれが初めてで、そろそろ買い換えてもいいんじゃないか。妻からもそう言われているので、検討を始めた。最近 Mac の製品ラインアップは全然チェックしてないから、どうなってるかよくわからん。

 ノート型は必須なので、MacBook, MacBook Air, MacBook Pro の3種類。できればメインメモリは 16 GB, ストレージは 512 GB 欲しい。CPU や GPU の性能にはあまりこだわらない。

モデル画面サイズメインメモリストレージ
MacBook12インチ最大16GB最大512GB
MacBook Air13.3インチ最大8GB最大512GB
MacBook Air (Retina)13.3インチ最大16GB最大1.5TB
MacBook Pro13.3インチ最大16GB最大2TB

 旧型 MacBook Air はメモリ容量で選択肢から外れた。残りのそれぞれのモデルについて、最低限上記のスペックを満たす構成だと、下のようになった。(調べている途中で、MacBook Pro には世代の違う2モデルがあることに気づいた。)

MacBookMacBook Air (Retina)MacBook Pro (2017)
Touch Bar なし
MacBook Pro (2018)
Touch Bar あり
画面解像度 2304x1440 2560x1600 2560x1600 2560x1600
CPU 第7世代
1.3GHzデュアル
Intel Core i5
第8世代
1.6GHzデュアル
Intel Core i5
第7世代
2.3GHzデュアル
Intel Core i5
第8世代
2.3GHzクアッド
Intel Core i5
メモリ 1,866MHz LPDDR3 2,133MHz LPDDR3 2,133MHz LPDDR3 2,133MHz LPDDR3
グラフィック Intel HD Graphics 615 Intel UHD Graphics 617 Intel Iris Plus Graphics 640 Intel Iris Plus Graphics 655
ポート USB-C x1 Thunderbolt3 x2 Thunderbolt3 x2 Thunderbolt3 x4
税込価格 213,624円 216,864円 225,504円 262,224円

 MacBook Pro (2018) に気づく前は、MacBook Pro (2017) でいいかと思っていたけど、デュアルコアとクアッドコアの違いは大きいので、迷っている。26万円か…手の届かない価格ではないけどな…

(こういう流れになると、普通は上位モデルを買うことになるんだよね…でも、Thunderbolt のアダプタも買わないかんし、VMWare Fusion もアップデートせんといかんし、うーん…)

タグ:Mac
posted by toshinagata at 01:29| 日記
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