2018年08月23日

「ルビィのぼうけん」(リンダ・リウカス著、鳥井雪訳、翔泳社)

 うーん、惜しい本だ。志は買う。やりたいことはわかる。でも、ちょっと届いてないかな。

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 ここに書かれているメッセージは、「プログラミング教育は『コードを書く』ことだけではない」ということです。これはすごく大事なメッセージだと思う。で、何が届いてないかというと、絵本を読んでもよくわからないんですよ。それぞれのセクションで、ルビィちゃんが何かをやってるけど、それを通して何を伝えようとしているのかがわからない。

 結局、「保護者へのメッセージ」を読んで、そこに書かれている話が何に対応しているのかを(プログラマの目で)理解する必要があります。そして、「ああ、ここは繰り返し処理の話なんだな」とか「ここは条件判定の話なんだな」などと頭に入れた上で、もう一度絵本の内容に戻らないといけない。

 Amazon の書評ではわりと評判がいいみたいだけど、絵本としてこなれているとは言えないと思います。作者がフィンランドの人なので、北欧の人が持つ独特の「とっつきにくさ」というのもあるのかもしれないけど。

 コードを書かずにプログラミングする、というのは「アンプラグド・プログラミング」などと呼ばれているようです。僕らの世代は、「ナイコン」(コンピュータを所有しない、という意味)時代にみんなやっていました。プログラミングの考え方を身につけるには有効だし、学校教育の現場では実用的でもある。実際、小学校での実践を紹介した本もあります(未読だけど)。

 「ルビィのぼうけん」に戻ると、この本は重要な一歩だと思うけど、これを越えるものが出てこないといけませんね。この本が「コードを書かないプログラミング入門」の標準になってしまったら、それはかなり残念なことです。

 最大のハードルは、「書ける人を探す」ことだろうな。福音館書店さんとか、やってくれませんかね。

 8/24追記:内輪ネタが多いのも、プログラマでないとピンとこない理由の一つだな。ペンギン・ユキヒョウ・キツネ(これはわからんかった)・ロボット・ヘビという組み合わせ、非プログラマの人には何の意味も必然性もないから、読み進むにつれて「わけがわからない」という気分を加速してしまう。プログラマのコミュニティの中で作るからこうなっちゃうんでしょう(特に Ruby コミュニティは仲間意識強そうだし)。だから、そういうコミュニティから離れた人がこういう本を作った方がいいと思うんだけど、そうすると売れなかったりするんだよな…

posted by toshinagata at 00:26| 日記
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