2019年01月08日

クラシック音楽館:アリス・紗良・オットのラヴェル

 NHK の「クラシック音楽館」にピアニストのアリス・紗良・オットさんが出るというので、見てみました。だいぶ以前だけど、この人がインタビューされているのを読んだことがある。楽譜を丹念に読み込んで、そこに示されている作曲者の意図を読み取ろうとする立場に立たれているようなので、関心を持っていた。

 演奏の前に、指揮者のジャナンドレア・ノセダさんのトークがあって、そこでもアリスさんに言及されていた。やはり、「音楽に対して誠実な人だ」という評だった。今回の演目はラヴェルのピアノ協奏曲(ト長調)だが、そのアプローチがどう出るか。

 第一楽章は、こじんまりとまとまってしまった感じ。第二主題のホ長調のところはえらくあっさり過ぎてしまった。下の譜例のあたりとかも、もうちょいオーケストラを強引に引っ張っていくぐらいに突っ走ってもよかったんじゃないのかな。

20190107-1.png

 第二楽章は、うまくオーケストラとピアノが一体化していた。特に、再現部でコーラングレがメロディーをとるところ、ソリストがコーラングレ奏者とアイコンタクトをとりながら弾いていた。下の譜例の赤で囲んだところ、ピアニストとしては粘りたくなるんだけど、ほとんど粘ってなかった。ここで粘られると、コーラングレが困っちゃうんだよな。

20190107-2.png

 第三楽章。出るところは出て、オケに溶け込むところは溶け込んで、というきれいな演奏だったけど、このへんとか、もうちょい暴れてよ!とツッコミたくなった。

20190107-3.png

 演奏終了後、コーラングレ奏者にアリスさんが何度も拍手を送っていたのが印象的だった。自分がイチバン、ってタイプじゃないよなあ。それでいてソリストとして第一線で活躍し続けているのはすごいと思う。

 ところで、この曲はどの演奏を聴いてもいつも思うんだけど、金管の入りが遅れがちだよね。なんでなんだろう。こういうところとか。プロでも難しいんでしょうかね。

20190107-4.png

 もう一つ、上の譜例を出して思い出したんだけど、譜例の最初の小節のトランペットの F# 音、一小節あとが正しいんじゃないかな。今回の演奏はそうしてた気がする。(あの F# 音は耳障りで目立つので、鳴ってたら気がつくと思う。確信は持てないけど。)

タグ:音楽
Posted at 2019年01月08日 00:33:55
email.png