2019年07月22日

Switch インタビュー「舘野泉×中村桂子」

 NHK Eテレの Switch インタビュー、「左手のピアニスト」舘野さんと「生命誌研究者」中村桂子先生。お二人とも今年83歳ですか。舘野さん、少し話すのが不自由そうで、さすがにお年を感じさせる。それでも、ピアノの前に座れば、ピアノ協奏曲を一晩で二曲こなす体力があるんですね。

 今回は、中村先生がお相手ということもあって、しきりに「生きている」というキーワードが出てきた。ピアノを弾いていると「生きている」と実感する、音楽が「生きている」、云々。

 バッハ/ブラームスのシャコンヌのくだりが面白かった。舘野さんは、脳出血からの復帰コンサートに向けて、この曲をさらい始めたけど、どうにもつまらない。「こんな風に、音が一つしかないわけですよ、今まで両手でたくさん音を鳴らしていたのに…」と言いながら、曲の一節を弾いて見せるんだけど、中村先生には「すてきな音楽」にしか聞こえない。そりゃそうだよね、目の前で舘野さんがバッハを弾いて、それがつまらなく聞こえるはずがない。舘野さんは「つまらなく」弾いてたつもりなんだろうけど。ところが、2ヶ月ぐらいたったある時、音楽が「生き始める」。この感覚、自分で音楽をやる人なら、きっとわかるだろう。ただの音の並びだったものが、ある時から「生きたもの」になって、語り始める。

 こんな風に、「音楽が形作られていく過程」って、なかなか見せてはもらえない。そういう意味で、とても貴重な話を聞かせてもらった。そういえば、ずっと以前に BS でやっていた舘野さんの特集番組では、間宮芳生さんに「風のしるし」の作曲を委嘱したときのやりとりも紹介されていた。あれも面白かったなあ。

 中村先生はとても気品のある話し方で、舘野さんの話をうまく引き出しておられた。後半は中村先生が主役になって生命誌の話…になるはずなのだけど、そっちでもなんだか舘野さんが主役になっちゃってましたね。中村先生の話をもう少し聞きたかった気もする。まあしかし、「ひどく専門性の高い話(遺伝情報がどうとかこうとか)」か「誰でも知ってそうな話」の二択になってしまうのかもしれず、舘野さんとの組み合わせでは中村先生のお仕事の魅力はあまり生きてこないのかもしれないな。

 そうは言いつつも、ゆったりとした時間が流れる、いいインタビューでした。楽しかった。

タグ:音楽 科学
posted by toshinagata at 21:52| 日記
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