2019年11月10日

ラヴェル「高雅で感傷的なワルツ」動画の編集

 ラヴェル「高雅で感傷的なワルツ」を Sound Canvas VA で全曲やってみました。昔 Nifty-serve の FMIDICLA で発表した MIDI データですが、今回全面的にテンポを見直しました。動画では、テンポを表示しながら演奏しています。

 動画の編集も少しだけ頑張ってみました。映像ソースは Alchemusica の演奏を QuickTime Player の「新規画面収録」で録画。音声ソースは Alchemusica のオーディオ録音で保存したものを Audacity でレベル調整。QuickTime Player の録画の時も、SoundFlower を通して音声を録音してあります。

 映像の方を iMovie で開き、タイトル画面と、「Valse 1: Modéré」などというテロップを入れる。

20191110-1.png

 映像側はこれでよいとして、別録りした音声データと組み合わせてみた。iMovie 上で、オーディオの開始位置をなるべく合わせる。目分量ではあるけど、0.1 秒もずれてないはず。

20191110-2.png

 元の動画のオーディオをミュートして、mp4 で書き出してみた。すると、最後の方で音ズレを起こしているのです。Valse 8 の冒頭を切り出してみました。ピアノロールと音声がずれているのがおわかりでしょうか。映像と音声が別々に進行しているので、時間のわずかな誤差が積み重なって、曲の最後の方では1秒近くずれてしまっている。

 ここはちょっとトリッキーな処理が必要。まず、動画の先頭から「○分○秒」の位置を正確に知るため、今作った mp4 ファイルを VLC で開く。「再生→指定時間へジャンプ」を使って、動画の最初の方、たとえば 00:05 にジャンプする。

20191110-3.png

 画面の左上に「その時点での MIDI データ上の位置」が表示されている。このデータを Alchemusica で開いて、「MIDIデータ上の位置」を「先頭からの時間(秒)」に直す。この場合だと、「MIDIデータ上の位置」が 1:3:0 なので、イベントリストウィンドウを開いて 1:3:0 の位置にダミーイベント (@text とか) を挿入して、表示を "time in seconds" に変えればよい。あ、ちょうど 1.000 秒だ。そりゃそうだな、最初の2小節は tempo=120 で初期化データを送っているから、2拍はちょうど1秒になる。

20191110-4.png

 同じように、VLC で動画の最後の方、15:56 にジャンプする。MIDI データの位置は 598:3:403 となった。

20191110-5.png

 Alchemusica 上でもう一度ダミーイベントを入れて、秒数に変換。951.100 秒で、妙にキリのいい数字だな、と思ったが、Alchemusica では画面書き換えを 100 ミリ秒ごとに行っているためだった。

20191110-6.png

 映像のタイムスケールを変更して音声に合わせ、音声は開始位置を合わせる。ややこしいので、下の図をみてください。ffmpeg を使って、タイムスケールは itsscale、開始位置は itsoffset オプションで指定する。-map 0:v -map 1:a は、最初(0番目)の入力から映像 (v) を取り出し、次(1番目)の入力から音声 (a) を取り出すオプション。

20191110-7.png

 うまくできました!

 本当は、タイトルやテロップを入れたり、最後をフェードアウトするのとかも、ffmpeg でやりたいところ。今後の課題だな。

タグ:音楽 DTM
posted by toshinagata at 22:50| 日記

2019年10月27日

「春と修羅」高島明石バージョン

 「春と修羅」、DTM でやってみました。4バージョンありますが、ここはやっぱり「アマチュアの心意気」で、高島明石バージョンでしょう。

20191027-1.png

 例のポリリズムのところ、もう少しきめ細かいテクスチャになってほしいんだけど、なんかがちゃがちゃ鳴っているように聞こえる (0'42")。もうちょい研究が必要だな。

20191027-2.jpg

 つづく単音の部分はめっちゃ難しい (1'30")。6連符が続くところ、さらっと流しちゃっていいんだろうか。それとも、一番上の E 音でちょっと粘ったりする?

20191027-3.jpg

 このあともう一度、ポリリズムが出てくる (1'53")。さっきの部分は、冒頭のメロディが最高音に出てくるので、弾き方にはあまり迷わないけど、ここのメロディの弾き方はちょっと迷う。48小節で音使いが少し変わって、転調するようなイメージ。左手のパッセージで、テヌートの音と「テヌート+アクセント」の音は当然区別するんだろうけど、あまりうまくいかなかった。

20191027-4.jpg

 明石バージョンのカデンツァ。"senza pedale" のところは軽やかに流して、「あめゆじゅ…」のところはしっとり歌う。Più mosso のところは迷った (4'26")。テンポ指示が遅めなんだけど、どうしても間延びしてしまう。指示を無視して速めに弾いてしまいました。

20191027-5.jpg

 最後の技巧的な部分。トリルのところは、どう弾けばいいのかよくわからない (5'53")。楽譜にはペダル指示がないけど、実演では右ペダル踏むとこじゃないかしら。DTM では「箱鳴り」がないので踏んでも意味ないんだけど(物理モデリングの音源を使うと、少し鳴り方が違うかもしれない)。151小節の左手の9個目の音、D# ですよね?

20191027-6.jpg

 楽譜を見ているだけ、演奏を聴いているだけでは気づかないことがいろいろ見えてきます。DTM の楽しみ方の一つですね。

タグ:音楽 DTM
posted by toshinagata at 14:07| 日記

2019年10月22日

「春と修羅」楽譜買いました

 未だ感動冷めやらず。これを買いました。

20191022-1.jpg

 藤倉大作曲の「春と修羅」。役名(菱沼忠明)じゃなくて、ちゃんと藤倉さんにクレジットされている。よきよき。

 この楽譜では、4人分の「春と修羅」が、主要部とそれぞれのカデンツァを合わせた完全形で記載されている。だから、主要部分は重複して印刷されている。カデンツァはどれも魅力的だけど、やはり明石バージョンが一番親しみやすいかな。「あめゆじゅとてちてけんじゃ」の鼻歌メロディね。

20191022-2.jpg

 カデンツァの後はご覧の通り技巧的ですが、ここはまだなんとかなりそうな気がする。最初のバリエーションで出てくるポリリズムの方がきついですよ。これはお手上げです。

20191022-3.jpg

 まあ、こういう時のために DTM があるわけです。先日、長いこと塩漬けになっていたカシオの電子ピアノ PX-310 を引っ張り出してセッティングした。少しさらってから、打ち込みに入ります。(また Alchemusica の不具合がいろいろ見つかりそうだな…)

タグ:音楽
posted by toshinagata at 21:52| 日記

2019年10月13日

映画「蜜蜂と遠雷」

 見てきましたっ!! 期待に違わず、素晴らしかった!

20191013-1.jpg

 実は原作は読んでないんです。いいに違いない、とは思っていたんだけど、恩田陸さんの文体がちょっと苦手なもので。だから、大まかなあらすじだけの予備知識で臨みました。ただし、「おはよう日本」でやっていた松岡茉優さん・松坂桃李さん・石川慶監督のインタビューはしっかり見たし、あちこちの紹介記事も読んでいた。

 何が素晴らしかったって、音楽が、これ以上望みようがないぐらい見事だった。まず、演奏・作曲を担当するメンツがすごい。河村尚子・福間洸太郎(ごめんなさい、この人だけ知らなかった)・金子三勇士・藤田真央の各氏がピアノ演奏担当。そして、「春と修羅」の新作書き下ろし。この作品を映画化する、と聞いた時、真っ先に思ったのが「『春と修羅』どうするんだろ?」ということだった。読んでないけど、新作課題曲である「春と修羅」が重要な役割を担っていることは知っていたから。その作曲を藤倉大さんが引き受けられたと聞いて、「これは製作陣、本気を出してきたな」と思った。このメンツに音楽パートを引き受けてもらって、下手な映画は作れないでしょ。相当プレッシャーだったんじゃないかな。

 2月にこの音楽担当メンバーが発表された時のそれぞれのコメントが、こちらのページに紹介されている。金子さんだけちょっと異質なんだよな。他の人はみな、原作に則って、音楽に詳しくない人でも受け止められるようにうまくコメントされているんだけど、金子さんは「プロコフィエフの2番は難曲で、自分の演奏がどう映像になったか楽しみ」と、そりゃそうなんだけどそれって今言う話か?的なコメントをされている。でも私は金子さんのこういうちょっとピンボケな感じが好きです。

 実はだいぶ昔に、岡崎の「コロネット」に金子三勇士さんが来られて、ソロコンサートをされたんですよ。コロネットは小さなホールなので、演奏者と聴衆の距離が近い。そういうコンサートで、金子さんは MC もされたんだけど、選曲の理由とか、演奏上の技術的なこととか、けっこう細かいことを思い入れたっぷりに語るので、聴衆は「?」という雰囲気になっていた。でも、話している金子さんがすごく楽しそうなんですよ。あれ以来、金子さんのファンになっている。CD やコンサートを追っかけするほど熱心ではないけど。

 映画の話に戻ると、河村尚子=栄伝亜夜=松岡茉優というのも、すごいキャスティングだった。河村尚子さんって、小柄だし、顔も可愛らしい印象じゃないですか。でも、演奏はすごくダイナミックで、フルオケと渡り合って一歩も引かない、豪腕でねじ伏せるような迫力がある。そのパワーがあるから、繊細な表現が逆に生きてくる。

20191013-2.jpg

 映画では、迷いを感じさせる予選(弾くシーンはない)、少し覚醒のきざしを見せる二次予選(「春と修羅」のカデンツァ)、出番の直前に再びやってきた深い迷いを振り切って、完全覚醒する本選(プロコの3番)。河村さんの演奏と、松岡さんの演技の両方が、大きな振り幅を持っているからできた表現だと感じた。

 あと、本選で藤田真央=風間塵=鈴鹿央士が弾いたバルトーク3番もすごく良かった。バルトークってもともと、生涯戦い続けた人じゃないですか。しかも、この曲を書いた時はもう死にかけてた。だから、曲想は明るいはずなのに、どこかに「陰」を感じてしまうんですよ。でも、塵くんのバルトークにはそういうのがなかった。軽やかで楽しげなバルトーク。全曲聴きたい!

 福間洸太郎=高島明石=松坂桃李にも一言触れておかなくちゃ。本選には進めなかったけど、「生活者の音楽」は敗北してない。あなたの「春と修羅」は、アカデミックな音楽家には届かなかったかもしれないけど、地べたに生きる人たちにはちゃんと届いていた。そのことが逆に明石に伝わって、彼に勇気を与えてくれたらいいなと思う。

タグ:映画 音楽
posted by toshinagata at 17:33| 日記

2019年10月12日

和田誠さん逝去

 享年83歳。あらゆる方面ですばらしい才能を発揮した人だった。思い出す作品はたくさんある。印象深いのは、谷川俊太郎さんとのコラボ作品。絵本の「これは のみの ぴこ」や「ともだち」、「けんはへっちゃら」など、エッセイ集の「ナンセンス・カタログ」、それからショートショートの「ペ」もそうだったんじゃないかな(手元にないからわからん)。もちろん、単著もすばらしい。「倫敦巴里」には衝撃を受けた(と同時に思い切り笑った)。私は洋画をほとんど見ないので、映画関係のところはよくわからんかったけどね。

 すごく好きなエピソードが一つある。丸谷才一さんのエッセイ(「男ごころ」収録)に書かれていたものだ。プロ野球の西武ライオンズのロゴマークは手塚治虫氏によるものだが、その制作がライト・パブリシティ社に依頼された時、和田さんは同社とつきあいがあったそうだ。

「ですから、もしあのとき、ぼくにやらせろと頑張つたら……」
「なるほど」
「……西武は今ほど強くないかもしれませんね」
と和田さんは謙虚である。奥床しい。

(丸谷才一「男ごころ」 新潮文庫)

 いつかは来る別れの時だが、やはり寂しい。安らかにお眠りください。

タグ:読書 社会
posted by toshinagata at 23:54| 日記

2019年10月09日

ZeroBrane Studio すごいぞ

 wxLua の現在のメンテナー(と言っていいだろう) pkulchenko 氏謹製の Lua 専用 IDE, ZeroBrane Studio。誰かが "*THE* IDE for Lua" (Lua IDE の決定版)と書いていた。ほんとその通りですね。スクリプト言語がこんなに簡単にデバッグできるなんて、と感動してしまう。

20191009-1.png

 開発中の wxLuaApp もこれでデバッグできるようにしたいと思ったが、どうもうまくいかない。原因がよくわからないので、ZeroBrane Studio とデバッグ対象プログラムの間のソケット通信を解読して、自力で実装しようとしている。一応それなりには動くようになった。いろいろ穴があるので改良中。今は通信コードを Lua で書いているが、かなり重いので、ゆくゆくは C で書き直したいところ。

posted by toshinagata at 20:49| 日記

2019年10月06日

「おまじない」(西加奈子著、筑摩書房)

 西さんの小説、初めて読了しました。

20191006-1.jpg

 帯に「女子たちの背中をそっと押してくれる魔法のひとこと−」とある。いろいろと背伸びして、頑張って生きて、でもそういうことに実は疲れていて、思い悩んでいる女性たち。そんなときに、彼女らの心に届く言葉がある。何か劇的なことが起きるわけではないんだけど、どんよりした雲が少し薄らいで見える、そんな感覚がある。

 言葉を発する人は、どれも男性である。それも、はたから見てあまりぱっとしない人であることが多い(「孫係」のおじいちゃまはちょっと違うけど)。この短編集は、そういう設定の世界なのだろう。女性が女性の言葉に救われる話を読みたい人は、他の本を読めばいい。「ぱっとしない人」とは、たとえばいちごのことしか頭にない田舎のじいさんとか、まったくうだつの上がらない売れない芸人とか、むやみに物識りだけど仕事もせずに90歳の母親のスネをかじっているおっさんといった面々である。そういう人たちの言葉に、なんともいえない「優しさ」がにじみ出ている。

 西さんは、こういう人たち、つまり悩んでいる女性たちと、その周りにいるぱっとしない男性たち、に愛おしさを感じているんだろうな、と思う。

なんてダサい、そして下衆な人間なのだろう。

私は弱い。

立ち上がると、視界がなんだかクリアだった。薄くはっていた膜がぽろりと取れた。(「マタニティ」)

 ダサくても、下衆くても、弱くても、そのまま生きていくんだ、という実感。それは、「ありのままでいいんだよ」という応援メッセージともちょっと違う。もう少し、「生きていく」ことの面倒くささまでも包み込んだ上での実感が、この短編集にはある。これはきっと、西さんの人生観でもあるんだろうな。

タグ:読書
posted by toshinagata at 14:14| 日記

2019年09月22日

LuaHPDF + wxWidgets で日本語 PDF

 「LuaHPDF:日本語の PDF 文書を作る」のつづき。Mac, Windows のクロスプラットフォームにしようと思って、また一苦労した。

 先日のコードでは、フォントのファイルパスを /Library/Fonts/Microsoft/MS Gothic.ttf とハードコーディングしている。これを何とかできないか、せめて「フォント名」を指定して、そこからフォントファイルを探すようにできないかと考えた。しかし、Windows ではこれが非常に難儀だった。どうやら、公式の API は存在しないようで、レジストリを自力で探すか、フォント名からデータを取得してファイルの内容と突き合わせるか、非公開の API を使うか、そんな方法しかないらしい。

 今作成しているプログラムでは、フォントは「MSゴシック」固定でも特に問題はないので、下のように対応することにした。フォントのファイルパスはハードコーディングしておき、見つからなければ埋め込み無しの「MS-Gothic」を使う。

-- プラットフォーム名。"Mac", "Windows" などになる
local platform = string.match(wx.wxGetOsDescription(), "^(%S*)")
local pdf = hpdf.New()
local page = hpdf.AddPage(pdf)
local height = hpdf.Page_GetHeight(page)
local width = hpdf.Page_GetWidth(page)
hpdf.UseJPEncodings(pdf)
local font_name
--  MS ゴシックの ttf/ttc があれば使う、なければ UseJPFonts の MS-Gothic を使う
if platform == "Mac" then
  font_name = hpdf.LoadTTFontFromFile(pdf, "/Library/Fonts/Microsoft/MS Gothic.ttf", 1)
elseif platform == "Windows" then
  font_name = hpdf.LoadTTFontFromFile2(pdf, "c:\\Windows\\Fonts\\msgothic.ttc", 0, 1)
end
if font_name == nil or font_name == "" then
  hpdf.UseJPFonts(pdf)
  font_name = "MS-Gothic"
end

 もう一つ、地味に面倒なのが、UTF-8 文字列を Shift-JIS 文字列に変換する方法。UTF-8 と Shift-JIS の文字の並びには何の関連性もないので、表を引くしかない。車輪の再発明は避けて、それぞれの OS の機能を素直に使う。Lua の関数として実装した。

/*  UTF-8 string to CP932 (Windows Shift-JIS) string  */
static int
utf8_to_sjis(lua_State *L)
{
    size_t len;
    const char *utf8 = lua_tolstring(L, -1, &len);
    if (utf8 == NULL)
        luaL_error(L, "Cannot get string");
    
#if defined(WIN32)
    size_t widelen, sjislen;
    wchar_t *wide;
    char *sjis;
    widelen = MultiByteToWideChar(CP_UTF8, 0, utf8, -1, NULL, 0);
    wide = calloc(widelen + 1, sizeof(wchar_t));
    if (wide == NULL)
        goto error_alloc;
    if (MultiByteToWideChar(CP_UTF8, 0, utf8, -1, wide, widelen + 1) == 0) {
        free(wide);
        goto error_conv;
    }
    sjislen = WideCharToMultiByte(CP_THREAD_ACP, 0, wide, -1, NULL, 0, NULL, NULL);
    sjis = calloc(sjislen + 1, sizeof(char));
    if (sjis == NULL) {
        free(wide);
        goto error_alloc;
    }
    if (WideCharToMultiByte(CP_THREAD_ACP, 0, wide, widelen + 1, sjis, sjislen + 1, NULL, NULL) == 0) {
        free(wide);
        free(sjis);
        goto error_conv;
    }
    lua_pop(L, 1);
    lua_pushlstring(L, sjis, sjislen);
    free(wide);
    free(sjis);
    return 1;
#elif defined(__APPLE__)
    CFStringRef ref = CFStringCreateWithBytes(kCFAllocatorDefault, (const UInt8 *)utf8, len, kCFStringEncodingUTF8, false);
    if (ref == (CFStringRef)0)
        goto error_conv;
    size_t widelen = CFStringGetLength(ref);
    char *sjis = (char *)calloc(widelen * 2 + 1, sizeof(char));
    if (sjis == NULL) {
        CFRelease(ref);
        goto error_alloc;
    }
    if (!CFStringGetCString(ref, sjis, widelen * 2 + 1, kCFStringEncodingDOSJapanese)) {
        CFRelease(ref);
        free(sjis);
        goto error_conv;
    }
    lua_pop(L, 1);
    lua_pushlstring(L, sjis, strlen(sjis));
    free(sjis);
    CFRelease(ref);
    return 1;
#endif
error_conv:
    luaL_error(L, "Cannot convert");
error_alloc:
    luaL_error(L, "Cannot get string");
    return 0;
}
posted by toshinagata at 12:03| 日記

2019年09月21日

LuaHPDF:日本語の PDF 文書を作る

 「Lua で PDF 作成:LuaHPDF」のつづき。日本語を含む PDF 文書を作るには、次の関数を使う。

  • hpdf.UseJPFonts(): 日本語の「MS明朝」「MSゴシック」「MSP明朝」「MSPゴシック」の4つのフォントを使えるようにする。
  • hpdf.UseJPEncodings(): 日本語の「90ms-RKSJ-H」「90ms-RKSJ-V」「90msp-RKSJ-H」「EUC-H」「EUC-V」エンコーディングを使えるようにする。
package.cpath = "./?.dylib;" .. package.cpath
--  "mysampleあいうえお" をシフトJISで表記
local s = "mysample\\130\\160\\130\\162\\130\\164\\130\\166\\130\\168"
hpdf = require "hpdf"
local pdf = hpdf.New()
local page = hpdf.AddPage(pdf)
local height = hpdf.Page_GetHeight(page)
local width = hpdf.Page_GetWidth(page)
hpdf.UseJPEncodings(pdf)
hpdf.UseJPFonts(pdf)
local font = hpdf.GetFont(pdf, "MS-Gothic", "90ms-RKSJ-H")
hpdf.Page_SetFontAndSize(page, font, 24)
hpdf.Page_BeginText(page)
hpdf.Page_TextOut(page, 60, height - 60, s)
hpdf.Page_EndText(page)
hpdf.SaveToFile(pdf, "jp_from_haru.pdf")
hpdf.Free(pdf)

 できました。

20190921-1.png

 Windows 以外の環境だと「MS……」というフォントは標準搭載ではない。私の環境では、Mac でも Microsoft Office が入れてあるので、「MS……」が後からインストールされている。「MS……」が入っていない環境ではどう見えるか。VirtualBox に Debian を入れて、チェックしてみた。表示しているのは、ファイルビューアーの Evince。小文字の m のスペーシングがおかしい。

20190921-2.png

 代替フォントで何が使われているかは、「プロパティ」で見ることができる。DroidSansFallback だそうです。

20190921-3.png

 埋め込みなしで「MS……」を指定して PDF を作成するのは、「使う人がほぼ必ず『MS……』フォントをインストールしている」という環境では実用的と言える。だけど、そもそも PDF は「どういう環境でも同じように表示できる」ことを期待して使うことが多い。ということは、haruPDF で文書を作成する場合でも、フォントを明示的に指定して、埋め込む方がいい。

 「MSゴシック」を明示して埋め込んでみた。hpdf.UseJPFonts() をやめて、代わりに hpdf.LoadTTFontFromFile() を使う。

package.cpath = "./?.dylib;" .. package.cpath
hpdf = require "hpdf"
--  "mysampleあいうえお" をシフトJISで表記
local s = "mysample\\130\\160\\130\\162\\130\\164\\130\\166\\130\\168"
local pdf = hpdf.New()
local page = hpdf.AddPage(pdf)
local height = hpdf.Page_GetHeight(page)
local width = hpdf.Page_GetWidth(page)
hpdf.UseJPEncodings(pdf)
--hpdf.UseJPFonts(pdf)
--font_name = "MS-Gothic"
local font_name = hpdf.LoadTTFontFromFile(pdf, "/Library/Fonts/Microsoft/MS Gothic.ttf", 1)
local font = hpdf.GetFont(pdf, font_name, "90ms-RKSJ-H")
hpdf.Page_SetFontAndSize(page, font, 24)
hpdf.Page_BeginText(page)
hpdf.Page_TextOut(page, 60, height - 60, s)
hpdf.Page_EndText(page)
hpdf.SaveToFile(pdf, "../jp_from_haru2.pdf")
hpdf.Free(pdf)
print("../jp_from_haru2.pdf created")

 Debian で表示してみた。うまくいきました。

20190921-4.png

 「プロパティ」で確認する。フォントが埋め込みされている。

20190921-5.png

 残念ながら、Mac に標準でインストールされている日本語フォントは、うまく埋め込みできなかった。ヒラギノ系も Osaka も "Unsupported ttf format." というエラーが出る。ヒラギノ系は OpenType なのでしょうがないとしても、TrueType の Osaka は読めて欲しかった。

posted by toshinagata at 16:50| 日記

2019年09月14日

Lua で PDF 作成:LuaHPDF

 wxWidgets アプリを Lua で記述する wxLuaApp。これで PDF を作成したいと思ったのだが、wxWidgets には PDF 関連の API がない。誰か作ってるでしょ、と「Lua PDF」で検索すると、「Lua 関連の PDF 文書」が大量にヒットして、なかなか有益な情報にたどりつかない。PDF 関連の情報をネット検索で探すのは、案外面倒なんですね。

 「Lua PDF create」で探して出てきた、LuaHPDF が良さげだったので、試してみた。

20190914-1.png

 「Haru Free PDF Library」の Lua バインディングらしい。そうか、このライブラリは前に一度調べたことがあったな。オリジナルの作者が日本人なので、日本語対応がちゃんとしている。これは大事なポイントです。

20190914-2.png

 使い方の方針を決めておかないといけない。今回は、Lua スクリプトから見える場所に hpdf.dylib (Mac) または hpdf.dll (Windows) を置いて、hpdf = require "hpdf" で読み込むようにする。動的ライブラリは1個だけにしたいので、libHaru は静的にリンクすることにする。

 まず libHaru と luaHPDF をダウンロードする。

$ curl -L https://github.com/libharu/libharu/archive/RELEASE_2_3_0.zip >libharu-RELEASE_2_3_0.zip
$ unzip libharu-RELEASE_2_3_0.zip
$ curl -L https://github.com/jung-kurt/luahpdf/archive/master.zip >luahpdf-master.zip
$ unzip luahpdf-master.zip

 ここで大事なお知らせ。libHaru は libpng, zlib に依存します。Mac では、zlib はシステム標準のものを使う。libpng は X11 関連のライブラリにあるが、インストールされていない可能性もあるので、自前でビルドして静的リンクする。Windows では、両方自前でビルドすることにする。libHaru, luaHPDF と同じ階層に、libpng_zlib というディレクトリを作って、その中に zlib, libpng をインストールする。

$ mkdir libpng_zlib
$ cd libpng_zlib
$ curl -L https://download.sourceforge.net/libpng/libpng-1.6.37.tar.gz >libpng-1.6.37.tar.gz
$ tar xzf libpng-1.6.37.tar.gz
$ curl -L https://www.zlib.net/zlib-1.2.11.tar.gz >zlib-1.2.11.tar.gz
$ tar xzf zlib-1.2.11.tar.gz

 Mac 用のビルド。libpng を libpng_zlib/build-osx にインストールする。SDK として /Developer/SDKs/MacOSX10.6.sdk を指定する。--disable-shared--enable-static を指定して、静的ライブラリのみ作成する。

cd libpng-1.6.37
$ CFLAGS="-isysroot /Developer/SDKs/MacOSX10.6.sdk" CPPFLAGS="$CFLAGS" ./configure --prefix=$PWD/../build-osx --disable-shared --enable-static
$ make
$ make install

 libHaru のビルド。これも静的ライブラリのみ作成する。

$ cd ../../libharu-RELEASE_2_3_0
$ export SDK=/Developer/SDKs/MacOSX10.6.sdk; CFLAGS="-isysroot $SDK" ./configure --prefix=$PWD/build-osx --disable-shared --enable-static --with-sysroot=$SDK --with-png=$PWD/../libpng_zlib/build-osx --with-zlib=$SDK/usr
$ make
$ make install

 luaHPDF のビルド。ファイル1個だけなので、Makefile を書くより手打ちの方が早い。LuaJIT は、wxLuaApp の中でビルドしたものをリンクする。

$ cd ../luahpdf-master
$ gcc -isysroot /Developer/SDKs/MacOSX10.6.sdk -I../wxLuaApp/LuaJIT-2.0.5/src -I../libpng_zlib/build-osx/include -I../libharu-RELEASE_2_3_0/build-osx/include -Wall -O2 -fomit-frame-pointer -fPIC -c -o hpdf.o hpdf.c
$ gcc -shared -fPIC -isysroot /Developer/SDKs/MacOSX10.6.sdk -o hpdf.dylib hpdf.o -L../wxLuaApp/build-xcode/build/lib -L../libpng_zlib/build-osx/lib -L../libharu-RELEASE_2_3_0/build-osx/lib -lhpdf -lz -lpng -lm -lluajit-5.1

 できた!

$ ls -l *.dylib
-rwxr-xr-x  1 nagata   staff  1176140  8 29 23:28 hpdf.dylib

 試してみる。

package.cpath = "./?.dylib;" .. package.cpath
hpdf = require "hpdf"
local pdf = hpdf.New()
local page = hpdf.AddPage(pdf)
local height = hpdf.Page_GetHeight(page)
local width = hpdf.Page_GetWidth(page)
local font = hpdf.GetFont(pdf, "Helvetica")
hpdf.Page_SetFontAndSize(page, font, 24)
hpdf.Page_BeginText(page)
hpdf.Page_TextOut(page, 60, height - 60, "Hello from Haru")
hpdf.Page_EndText(page)
hpdf.SaveToFile(pdf, "hello.pdf")
hpdf.Free(pdf)

 できました。

20190914-3.png

 次は Windows (64 bit) のビルド。zlib でちょっと手こずった。

$ cd path/to/libpng_zlib
$ cd zlib-1.2.11
$ CHOST=x86_64-w64-mingw32 ./configure --prefix=$PWD/../build-win --static
...
Please use win32/Makefile.gcc instead.

 えー、大きなお世話じゃ。win32/Makefile.gcc は 32bit 限定なので、64bit 版はビルドできない。仕方がないので、configure に手を入れた。

  MINGW* | mingw*)
# temporary bypass  次の3行をコメントアウト。
        #rm -f $test.[co] $test $test$shared_ext
        #echo "Please use win32/Makefile.gcc instead." | tee -a configure.log
        #leave 1

 再トライ。今度はうまくいった。

$ CHOST=x86_64-w64-mingw32 ./configure --prefix=$PWD/../build-win --static
$ make
$ make install

 次は libpng。CFLAGSCPPFLAGS を両方指定しないといけない。気づくのに時間がかかった…

$ cd ../libpng-1.6.34
$ CFLAGS="-L$PWD/../build-win/lib" CPPFLAGS="-I$PWD/../build-win/include" ./configure --prefix=$PWD/../build-win --host=x86_64-w64-mingw32 --disable-shared --enable-static
$ make
$ make install

 libHaru は特に問題なし。

$ cd ../../libharu-RELEASE_2_3_0
$ ./configure --prefix=$PWD/build-win --host=x86_64-w64-mingw32 --disable-shared --enable-static --with-png=$PWD/../libpng_zlib/build-win --with-zlib=$PWD/../libpng_zlib/build-win
$ make
$ make install

 luaHPDF のビルド。前に書いた通り、fopen をマルチバイト対応のものに置き換える必要があるので、win_fopen.o を作成してリンクする。

$ x86_64-w64-mingw32-gcc -I../wxLuaApp/LuaJIT-2.0.5/src -I../libpng_zlib/build-win/include -I../libharu-RELEASE_2_3_0/build-win/include -Wall -O2 -fomit-frame-pointer -fPIC -c -o hpdf.o hpdf.c
$ x86_64-w64-mingw32-gcc -I../wxLuaApp/LuaJIT-2.0.5/src -I../libpng_zlib/build-win/include -I../libharu-RELEASE_2_3_0/build-win/include -Wall -O2 -fomit-frame-pointer -fPIC -c -o win_fopen.o win_fopen.c
$ x86_64-w64-mingw32-gcc -shared -fPIC -o hpdf.dll hpdf.o win_fopen.o -L../wxLuaApp/build-win/build/lib -L../libpng_zlib/build-win/lib -L../libharu-RELEASE_2_3_0/build-win/lib -lhpdf -lpng -lz -lm -llua51

 できた。

$ ls -l *.dll
-rwxr-xr-x  1 nagata   staff  1926112  9 11 21:57 hpdf.dll

 日本語 PDF を作成するには、Lua の文字列を Shift-JIS (CP932 = Microsoft Code Page 932) に変換する必要がある。libHaru は日本語エンコーディングとして CP932 か EUC しか対応してないためである(libharu:Encodings)。この件は後日。

posted by toshinagata at 22:44| 日記
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