2019年08月02日

映画「アルキメデスの大戦」

 「アルキメデスの大戦」、見てきました。「数学で戦争を止めようとした」男の話、だと?

20190802-1.jpg

 「帝国海軍を象徴する大戦艦」の建造を止めさせるため、山本五十六(舘ひろし)が抜擢したのが、軍隊嫌いの天才数学者、櫂直(菅田将暉)。櫂は、予想通りの妨害や嫌がらせに辟易しながらも、自分の責務を全うするために奔走する。新造艦を決定する会議で長弁舌をふるうシーンが圧巻、と予告されていたが、その後にもっとすごいシーンが出てきた。田中泯が菅田将暉を激賞していたのはこのシーンのことなんだろうな。これを見るだけでも、入場料を払った値打ちが十分にある。

 この映画は、基本的には「櫂直(菅田将暉)を愛でる」ためのものだと思った。まず、この男は「計測する」ことにひどく執着する。普通の人(田中正二郎=柄本佑)に対して「美しいものを測りたいと思わないのか? 君は変わっているね」と言ってしまう、コミカルな面もある。一晩で造船技術に関する本を読破して、設計図面を描けるレベルになるという、超人っぷり。

 ただ、数学者としての才能を見せる場面は見当たらなかったな。櫂はアメリカ留学を断念して山本に協力するのだが、プリンストンには行かなくて正解だったんじゃないか、と思わなくもない。(日本では大天才ともてはやされていた人がアメリカやヨーロッパに渡って、実は凡庸な才能しかなかったことに気づいて悩む、というのは、この当時よくあった話でしょう)。「計算がやたら速い」という描写はあるけど、単純な加減乗除の計算と数学の才能は別物だからね。数学者らしい場面は、いよいよ切羽詰まった場面で、既存のデータを近似する数式を導き出すシーンぐらいか。あの場面は「2階の微分方程式が…」とか独り言を言いながら式を書き散らしていたから、数学監修の人が実際に導出した式を使っているのだろう。

 原作の三田紀房さんは、本作を描くきっかけの一つが、新国立競技場の総工費が膨れ上がって批判が高まり、白紙撤回されたことだったと述懐している。そういう目で見ると、セコい裏工作を仕掛けている嶋田繁太郎(橋爪功)が森喜朗元総理と重なって見えてきたりもします。

タグ:映画
posted by toshinagata at 21:52| 日記
email.png
Powered by さくらのブログ